2月の下旬ごろから税理士のTwitterでよく
「『クラウド会計使っているから経理は大丈夫!申告書だけ作成してください』と依頼されてソッコー断った。」
という投稿を見かけます。
「誰でもかんたんに経理ができる」のがクラウド会計のウリであり、ある程度自動化できるので「クラウド会計さえ使えばだいたい経理はできている」と思っている方も多いようです。
残念ながら、そんな都合のいい話はありません。
なぜこのような依頼が税理士から断られるかについてお話します。
クラウド会計は万能ではない
ぶっちゃけいえば、確定申告期限まぎわに1年分一気にまとめて処理したようなクラウド会計の内容など信用できない、ということです。
確かにクラウド会計を使って預金口座などと紐づけていれば自動的に取り込んでくれるので、ある程度できているかのように思えるかもしれません。
しかし、
- そもそもの科目の設定ミス。
- 例えば不動産管理会社から家賃収入から管理費を引かれた金額が入金されるなど、1つの入出金のなかに2つ以上の取引がある場合はうまく取り込めない。
- 預金残高は合っていても自動で取り込めない科目の残高が間違っている。
- 12月までに請求したが入金が1月以降になる売上が計上されているか。
- 12月までの請求だが支払が1月以降になる経費が計上されているか。
- 在庫がある場合はきちんと計上されているか。
など、ざっと思いついただけでもこれだけの不安材料があります。
これを1年分見て訂正していくのは至難の業です(しかもクラウド会計の訂正は、弥生会計などの訂正よりもめんどう)。
さらに、例えば去年の1月の取引でわからないことを質問しても、
「さあ、そんな1年以上も前のこと覚えていないな・・・そちらで適当に処理してもらえますか?」
という答えが返ってくることが多いでしょう。
このような内容が想定されるため、税理士は「クラウド会計使っているから、申告書だけ作って」という依頼をお断りすることが多いのです。
クラウド会計でも普段から経理をする人でなければ使いこなせない
クラウド会計の会社は「クラウド会計はかんたん」のような宣伝をしますが、クラウド会計であっても結局は普段から経理をする人でなければ使いこなせません。
自分でもよくわかっていないのにクラウド会計が勝手に処理してくれる、などという夢のような話はありません。
自分で事業を行う以上、経理は切っても切れない存在です。
経理を丸投げできず自分でやらざるを得ないが、そのやり方がわからないのであれば年内に
- とりあえず簿記を勉強する。
- 税理士会や商工会議所などの無料相談で聞いてみる。
- スポット相談に応じる税理士に相談する。
など、何かしらの手立てを打つ必要があるでしょう。
その上で定期的に経理することで、はじめてクラウド会計を使いこなせるようになります。
確定申告で痛い思いをされた方は、次回こそはクラウド会計を使いこなして正しい経理→申告ができるように準備しましょう。